ジオラマ「ミシン商会」製作法 表紙へ
@製作のきっかけと構想

 ジオラマコンペティション2008で「入選」を受賞した本作品製作のきっかけは、エコーモデルのアクセサリィ「ミシン」キットでした。

 1台分で1,000円もする高価なキットですが、繊細で細密、スッキリとまとまった素晴らしい足踏み式ミシンが作れます。

 思えば私が子どもの頃、自宅のミシンは電動式でしたが、足踏み式ミシンもまだ一般的で、小学校や親類宅などあちこちで普通に目にすることができました。「子どもの頃に見た情景の再現」を目指す当鉄道としては、以前からぜひ取り入れたい題材の一つでした。

 しかもこのキットは、前述の通り実によくできています。エコーモデルのアクセサリィ・シリーズとは30年もの長きに渡るお付き合いで、既に全種類所有していますが、その中でもこのキットは、間違いなく最高峰と言えるでしょう。

 このキットを主役にして、何か作品を作りたい。そんなある日、広告で目にしたのが「ジオラマコンペティション」の文字。これは絶好の機会です。

 しかもエコーモデル主催となれば、古くからの常連客の一人として、出品しないわけにはいきません。でも次の瞬間、「3月31日締切」とあるのを見て愕然としました。当時の私は超多忙で、模型製作の時間は皆無です。

 どうしたものかと頭を抱えたまま、時間は刻々と過ぎていきます。せめて構想だけは練ろうと、通勤時間や就寝前の僅かな時間を使ってあれこれと考えますが、設計に取りかかる時間はありません。

 やがて大晦日の夜、ようやく時間が空いて設計を開始しました。

 まずは構想を煮詰めます。

 参考にしたのは、以前、鹿島鉄道を訪れたときに石岡の駅前を散策していて見つけた「ミシン商会」の建物。昔ながらの出桁造りの2階建て商店で、店先に足踏み式ミシンが飾られています。

 これをアレンジして建物を設計し、そこに住む一家を中心に「鈴木オート」風の物語を作ってみました。

  …夫婦が経営する小さな商店。家族は他に、男の子が1人と犬が1匹。従業員は1人だけ。ちょうど今は、近所の仲良し2人組の女の子が遊びに来ている。店の脇では露天商が野菜を売り、通りがかりの主婦が買い物中。店の前には足踏み式ミシンが飾られ、店内にも商品として何台かある。小さなミシンの修理と販売が、この一家の生活を支えている…。

 時代と場所の設定は、前作「上総鉄道」と同様、1960年代末の房総半島です。

 意外と見落としがちなのですが、建物や植物、地面の色、時にはアクセサリーにも地域性があります。今回は建物中心のジオラマなので、特に建物が関東風でなければ不自然になります。地面の色は、関東地方らしく濃いめにしましょう。季節は秋としました。

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