レイアウト 上総鉄道  本作品は、月刊『鉄道模型趣味』誌(略称TMS)2007年2月号(通巻763号)、4月号(765号)、2008年2月号(772号)に掲載されました。 前ページへ 表紙へ

 「上総鉄道」は、私が製作した16番ゲージ・レイアウトです。
  鉄道模型というと、最近は1/150のNゲージが主流ですが、16番ゲージは「日本型HOゲージ」とも言われ、縮尺は1/80です。
 私にとっては4作目のレイアウトとなりますが、3作目「上総森林鉄道」(1984年製作。第7回TMSレイアウトコンテスト準佳作受賞)以降、諸事情で17年間近く鉄道模型をやめており、長いブランクを経ての製作となりました。
 このレイアウト製作には、こんなきっかけがありました。
 本業の仕事で、たまたま模型製作をしなければならなくなり、久しぶりに実家の模型戸棚を開けてみたら、奥から何やら妙なものが出てきたのです。包装紙を開いてみると、新品のピィコ製フレキシブルレールとポイント多数。いったいこれは何だろう…。昔の記憶をたどってみると、未完成に終わった2代目レイアウトの余りと、上記コンテストでいただいた賞金で購入したものでした。
 さらに奥からは、アダチ製B型DLのキットまで出てきたのです。
 17年間陽の当たらない所で眠っていた彼らを見ているうちに、光を当ててあげたい気持ちになってきました。
 長いブランクで技術的な不安はあったものの、情熱が先に立って作り上げたのが本作品です。
 テーマは、「子どもの頃に見た、鉄道のある風景」です。
 私が子どもだった1968年春、房総半島の小私鉄が舞台です。
 私が子どもの頃、駅は町の中心であり、人も物も、鉄道と関わって動いていました。時間はゆっくり流れ、人々は本数の少ない列車に合わせて生活していました。そうした古き良き時代の温かい思い出の数々が、このレイアウトに込められています。例えば、駅の資材置き場で遊ぶ母子は、遠い昔の母と私です。
 特徴としては、本社社屋から倉庫や詰所に至るまで実際の鉄道営業に必要なすべての施設を製作し、スケール運転ができる線路配置と相まって、小私鉄の一日を完全に再現できることです。
 また、ストラクチャーは実に36棟を製作。中間駅の待合室のみキット組み立てですが、他は全部自作です。しかも、実物の日本建築に準ずる技法で作ったため、非常に実感的にできたと思います。
 シーナリィは、春の房総半島を見て回り、真似て製作しました。
 アクセサリィは市販品中心ですが、一部を自作。実物を観察し、同様に配置しました。
 レイアウトの設定は、下記の通りです。


 「鴻(おおとり)町は古くからの宿場町。小規模な温泉もある。大正時代に房総鉄道(現・JR内房線)の開通後、取り残された町民が零細資本を出し合って建設。町民鉄道と言われる。房総西線の須和田駅から鴻まで、6. 1 kmの非電化私鉄。途中駅は新田(しんでん)のみ。沿線人口は少ないが、並行道路が未整備なので、この鉄道が存続している。旅客より、貨物輸送の比重が高い。鴻からは砂利積み込み用の構外側線が延びる。採石場から積み込み場まではナローで輸送。定期列車は混合列車のみ8往復。他に不定期貨物2往復。発送貨物は砂利が中心で、他は農産物等。到着貨物は肥料、セメント等。荷物や郵便輸送も行っている」
 
 では、実際に上総鉄道を訪れてみましょう。
@始発駅「須和田」 A須和田〜新田 B中間駅「新田」 C新田〜鴻 D終着駅「鴻」
E鴻駅前 F鴻駅前商店街 G小型のDL H団体客輸送 New!I機関区見学
J本社訪問
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