レイアウト 表紙へ

 現実の風景をそのまま縮小した模型の世界が、レイアウトです。
 似たようなものにジオラマがありますが、これは動かない物です。
 一方レイアウトは、線路が敷いてあって実際に車輌を走らせることができます。
 駅や機関庫など、風景の一部のみを再現すると、レイアウトセクションと呼ばれます。
 私のレイアウトは、基本的に手作りです。既製品は部分的に使うだけで、可能な限り自作にこだわっています。それが温もりを生み出すのだと思うからです。
 お菓子に例えるなら、手作りの菓子と、市販の量産品との違いだと言えるでしょう。
 心のこもった手作りのお菓子を食べるときの、あのワクワクする感動を大切にしたいのです。
 荒崎義徳氏は、機芸出版社刊『レイアウトテクニック』で、「私も坂本氏にならって日本のレイアウトを作ろうと思いたった日から、目に入るものすべてが深い意味を持って眺められるようになりました。樹木の形や色、民家のたたずまい、道路の色、雑草の形態など、何を見ても楽しくてしょうがなくなりました。つくづく、『鉄道模型の世界に入ってよかった』と思ったものでした」と述べておられます。
 これは私も全く同様です。とにかく、何を見ても楽しいのです。
 レイアウトの製作を再開してから、私は自動車を運転するのをやめました。自転車もなるべく乗らず、極力歩くようにしています。歩くことで、今まで見落としていたさまざまなものが目に入るようになったのです。
 平凡な街並、民家の塀、微妙に傾いた電柱、狭い路地、そこを歩く人々。道端の月見草の可憐な美しさ。
 鉄道模型をやめていた17年間、私はいかに多くの魅力的な情景を見落としていたことでしょう。
 これからは、日常生活の細部にも目を向け、新しい喜びを次々に見つけていきたいと思います。

 私のレイアウト「上総鉄道」には、子どもがたくさんいます。
 これは私が子ども好きだから、ということもあります。
 また、実際に私が幼い頃は、街中のいたるところに子どもの遊ぶ姿が見られたからでもあります。
 自分自身も、駅の資材置き場で遊んだり、車輌の入替作業を飽きもせずに眺めて育ちました。
 子供の頃に見た情景は、私のレイアウトの製作テーマとなっています。

 商店街は、さまざまな魅力を秘めています。
 似たように見えて、実は一軒ごとに異なる形態の建物。看板や貼り紙。店員と客の掛け合い。さまざまな商品。そしてその並べ方にも興味が尽きません。
 でも現実の世界では、昔ながらの商店街はもう希少な存在になりつつあります。商店街はあっても元気がなかったり、場合によってはシャッター通りとなっていたりします。元気のいい商店街は改装してアーケードを設置し、画一化が進んでいます。
 昔ながらの雑多な、でも活気のある商店街は、やはり模型で再現するのが一番なようです。


 レイアウトで大切なのは、生活感の再現です。
 鉄道は人間が生活するためにあり、主役はあくまでもそこに住む人々です。生活のために必要な道具や建物を緻密に再現することは、レイアウトを生き生きとさせるのです。








 では、レイアウトの世界へ出発しましょう。
New!レイアウト「上総鉄道」  月刊『鉄道模型趣味』誌(略称TMS)2007年2月号(通巻763号)、4月号(765号)、2008年2月号(772号)掲載の16番ゲージレイアウトです。
過去のレイアウト  小学生の時に製作したNゲージレイアウト初代「上総鉄道」と中高校生の頃に製作した16番ゲージレイアウト旧「上総鉄道」、TMS第7回レイアウトコンテストで準佳作受賞のナローゲージレイアウト「上総森林鉄道」です。
レイアウトの季節  レイアウトの季節についてまとめました。
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