G小型のDL 前ページへ 表紙へ
 
 砂利積込線で貨車を押しているのは、「2」というナンバープレートを付けた小型のDLです。

 国鉄のトムと比べると、その小ささが際だちます。

 各地の小私鉄でおなじみの、森製作所製10t機です。

 一見、ちょっと大きな国鉄の駅でよく見かける貨車移動機に似ていますが、よく見ると実用一点張りの無骨なスタイルをしています。

 貨車を積込線に押し込むと、小型DLは単機で鴻駅へ戻ります。

 ロッドとジャック軸をチョコマカと動かして走る姿は、愛嬌があります。

 鴻駅では、貨車の入替をします。

 駅員さんの話では、この機関車は1954年製のDB2だそうです。

 当時、たまたま社長が常磐線の馬橋駅を通ったとき、車窓から流山電気鉄道のDB1を見かけて興味を持ち、同鉄道へ問い合わせたのが購入の発端だったとか。当初は同型2輌を購入予定だったのが、新三菱側からの売り込みがあり、結局1輌ずつになったそうです。

 つまり、先ほどの当鉄道DB1と同時期の機関車ですが、大きさも形態もまるで違います。

 曲線を多用し洗練された新三菱製機と並ぶと、角張った本機は鉄道車輌というより産業機械のようです。

 上総鉄道では、DB1とDB2の入線により、当時使用していた2輌の蒸機を代替し、無煙化を達成しました。
 

 入替を終えたDB2は、定期列車の仕業に就きます。

 牽引するのは、ハフ2だけ。これなら軽くて非力な本機でも十分です。

 DB2は、流山電気鉄道DB1と同型で発注されたそうですが、当時森製作所では加悦鉄道のDB201を製造中で、結局両者の中間的な形態となったようです。

 森製作所製のDLといえば蒸機の改造が有名ですが、本機は新製機です。唯一、動輪のタイヤ部のみは当鉄道の手持ち品を送ったものの、他は全て新規に製作したとのことでした。

 DB2とハフ2の小編成は、須和田まで往復して帰ってきました。
 
 下り列車を眺めると、DB2のボンネット部は前後で異なっていることがわかります。

 鴻駅到着後、運転士さんに聞いたところでは、DB1は力はあるものの軸重が重すぎ、保線区から苦情が出て、以前はあまり使われずDB2が主力だったそうです。

 昨年、レールを国鉄からの払い下げ品に交換してからは、DB1もそれなりに使われるようになったものの、まだDB2が走ることが多いとのことです。
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