東武鉄道 実物鉄道へ 表紙へ

(100系6連 栗橋〜新古河 2019.7.30)


 名鉄の600V区間が全廃されて以降、大手私鉄で最も魅力を感じるのは東武鉄道です。
 特に伊勢崎線は、走る車輌が実にバラエティに富んでいます。東武の電車だけでも特急から通勤型まで種類が豊富で、東急や東京メトロからの乗り入れ車も走ります。さらに18m車と20m車が混在しているのです。

 東武鉄道を代表する電車は、むろん100系「スペーシア」です。日光と鬼怒川向けの観光特急で、窓が大きく乗り心地が良く、車内販売もあります。1輌だけですが個室もあり、数回乗車しましたが快適でした。
 東京スカイツリーができてからは、塗装が変更されました。新塗装は複数ありますが、以前の方が似合っていたような気もします。

(100系6連 新高徳〜大桑 2013.3.12)

(100系6連 栗橋〜新古河 2019.7.30)

(850系3連 多田〜葛生 2013.9.17)


 路線が長いだけあり、北関東の自然の中をのんびり走ることもあります。

 写真の佐野線は、石灰石輸送が終了してから、すっかりローカル線となっています。膨大な数の貨物側線も、その大半は撤去されました。都会なら跡地を再利用するのですが、このあたりは空き地のまま。雑草が生え、わびしさがつのります。
 使用されている850系は、長らく東武鉄道の顔だった8000系をワンマン化した車輌。通勤車と沿線風景が、今ひとつ合っていないようですが、これはこれで趣があります。

(850系3連 葛生 2013.9.17)

(葛生 2013.9.17)

(6050系2連 新藤原〜鬼怒川公園 2013.3.12)


 現在の東武鉄道の車輌で、私が一番好きなのが6050系です。
 6050系については、「東武鉄道6050系」ページにまとめました。

 その6050系が主力となっている鬼怒川線は、路線自体も魅力的です。
 元が地方私鉄だっただけに、今もその雰囲気を色濃く残しています。等高線に沿った急曲線が延々と続き、勾配も急です。車窓には渓谷美や雄大な山地が広がり、見ていて飽きません。

 なお、東武鉄道では以前、特急の次に早いのが快速と区間快速でした。急行は快速より停車駅が多く、全て通勤型で運用されていたのです。2017年から快速と区間快速が廃止され、南栗橋以北に新たな急行が設定されました。この快速代替の急行だけは、6050系が運用に入ります。

(AT750・700形2連 新藤原〜鬼怒川公園 2013.2.25)


 最近、鬼怒川線に会津鉄道の快速「AIZUマウントエクスプレス」が乗り入れるようになりました。
 元名鉄の特急型に代わる、新潟トランシス製の2輌編成です。
 新藤原から下今市へ行き、折り返して東武日光まで乗り入れます。

(6050系6連 浅草 2013.3.12)


 ターミナルの浅草駅は、隅田川を鉄橋で渡った直後、左に90°曲がったところにあります。
 鉄橋は直線で駅が左方にあるのでこんな配置になったわけですが、この急曲線を20m車が通るところは見物です。まさに模型的な光景ですね。
 電車はむろん最徐行です。

(浅草 2011.10.16)


 また、開業当時よりホームが大幅に延長されているため、先端部は急曲線にかかり、細く大きく曲がっています。
 この部分に停車した車輌は、ドアが開くと右写真のような板が置かれます。

(浅草 2013.3.12)

(6050系2連 東武日光 2014.9.23)


 起点の浅草が急カーブ駅なら、日光線の終点の東武日光も似たようなつくりです。
 電車は徐行しながらJR日光線の日光駅と並行して走り、急に左へ曲がって日光駅の末端部をオーバークロスし、東武日光駅に入ります。
 4線に分かれるのも、浅草駅と同じです。
 でも、さすがに浅草ほど手狭ではなく、ホームもほぼまっすぐですが。
 観光客が降りた後は意外と静かで、のどかな雰囲気です。


 そして昔は駅前から、日光軌道線の路面電車が馬返まで走っていました。廃止が早かったので私は見ていませんが、東照宮方面へ向かう大通りの上を、電車が走っていたわけですね。
 当時の電車のうち、100型の一部は岡山電気軌道で健在で、200型連接車の1編成は東武博物館に保存されています。
 製銅所からの貨物輸送も盛んで、電気機関車も保有していました。貨車は当然国鉄へ直通していたので、今でもJR日光駅構内には広大なヤードの跡が残っています。

(10000系4連 栗橋〜新古河 2019.7.30)


 東武鉄道もいつの間にか、都内や埼玉県内を走る路線はほとんどステンレスカーやアルミカーになりました。
 近年まで主力だった10000系も、ローカル運用に入っています。
 大手私鉄の車輌の変化は、実に早いものですね。



 次ページは魅力的な鋼製車、「東武鉄道6050系」です。

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