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(クハ727+デハ717 富士山下〜丸山下 2016.1.3)

 私が初めて上毛電鉄に乗ったのは、1980年の正月のことです。

 実物誌で見た旧型電車に乗りたくて行ったのですが、中央前橋駅で待っていたのは元・西武鉄道のクモハ351+クハ1411でした。

 黄色く塗られた旧型車はまだ全車健在で、途中の粕川や新里の側線、大胡の車庫などに留置されている姿を、車内から恨めしげに眺めたものです。

 今思えば、西武の351系も魅力的な電車だったのですが、なにせ当時は東京23区内でもツリカケ車が普通に走っていた時代だったので、「わざわざここまで来たのに…」という思いがあったのです。



 2回目に乗ったのは98年。今度は元・東武鉄道の3000系。またしても「野田線と変わらんなぁ…」などと、バチ当たりなことを考えたものでした。

(デハ101 赤城 2009.1.4)


 念願かない、ようやく上毛電鉄オリジナル車に乗れたのが2009年正月のこと。イベント運転ですが、もう贅沢は言えません。

 デハ101の走りとツリカケ音を、十分堪能しました。
 

(デハ101 中央前橋 2009.1.4)


 デハ101は、前後で顔が違うのが特徴です。西桐生側は左写真の通り、貫通扉がありません。これはクハとの連結に備えて、後年、中央前橋側のみ貫通扉を増設したためです。

  

 同型車のデハ104は、大胡工場に留置中。こちらは右写真の通り、黄色塗装のままです。

 お世辞にも似合った色だとは言えませんが、私には懐かしい姿です。

 (デハ104 大胡 2009.1.4)

(デハ101 中央前橋 2014.9.6)

 デハ101は、やはり茶色塗装が似合います。

 車内には、右写真の通り「神戸・川崎車輌・昭和参年」の銘板が付いています。

 もっとも、製造当初はかなり形態が異なっており、1956年頃に鋼体化されて現在の姿に近くなりました。その後も窓の一段化やドアーの交換等、更新を重ねて現在に至っています。

(クハ727+デハ717 赤城 2016.1.3)


 通常、使用されている電車はこちら。元・京王井の頭線の3000系です。各地の電化私鉄で同型車が走っています。

 右写真では、ちょうど東武200系特急「りょうもう」と並びました。

   

(クハ727+デハ717 赤城 2009.1.4)



(デキ3021+テ241 大胡 2014.9.6)


 近年、東急からEL、東武から貨車が来て、大胡電車区の裏に留置してあります。本線上を走ることはありませんが、イベント時に花を添えます。

 右写真は現役の貨車。パラスト輸送用で、デハ101が牽引します。日本全国でおなじみのホキ800にそっくりですが、元は東武のホキ1型です。

(ホキ2+ホキ1 新里 2014.9.6)

(デハ101 中央前橋 2014.9.6)

 上毛電気鉄道は近年、イベントや企画列車に力を入れています。

 左写真は、2014年9月に運行された「升酒列車」です。デハ101の車内に樽酒を運び込み、升酒を飲み放題という豪快な企画でした。

 車内には右写真の通りテーブルが設置され、洋風のおつまみ弁当も配られました。

 私をふくめ、乗客は中央前橋発車直後からガンガン飲み始め、西桐生に着いた頃にはすっかりできあがっていました。

(デハ718+クハ728 赤城 2014.9.6)


 左写真は「風鈴電車」です。

 車内は天井からズラリと風鈴が下がり、涼しげな音色を響かせていました。

 右写真は「水族館電車」の車内。派手ですが楽しいですね。

(デハ714+クハ724 中央前橋 2015.12.13)

(クハ722+デハ712 新川〜東新川 2016.1.3)


 初めて乗車した30数年前に比べ、車輌や施設はすっかり近代化されました。
 
 上毛電気鉄道にステンレスカーが走るなんて、当時は全く想像できませんでした。

 でも、路線自体は昔のままですから、いたる所に古き良き地方私鉄の雰囲気が残っています。
 
 たとえば、線路と道路が並行していて、間に何もないなんて、現代ではあまり見ない光景です。まるで併用軌道のようです。

 昔はこれが当たり前でした。

 線路の路盤の脇、犬走りがなんとなく道路や住宅の敷地になっていて、境目がはっきりしなかったものです。

 私のレイアウトは時代設定が1960年代末ですから、そこは気をつけて作りました。
 
 模型ではなく実物でこんな情景があると、何だかホッとする思いがします。

 これが上毛電気鉄道の魅力なのだと思います。

 
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