小湊鐵道の豪雨被害  2015 実物鉄道へ 表紙へ

 2015年9月、台風18号にともなう「関東・東北豪雨」のため、小湊鐵道はまたも一部区間が不通になりました。
 不通区間は、被災直後の9月10日が上総牛久〜上総中野間、その後復旧が進み短縮されましたが、1ヶ月後の10月10日の段階で月崎〜上総中野間はまだバス代行でした。
 2014年3月20日、台風被害で不通となっていた養老渓谷〜上総中野間が半年ぶりに復旧したばかりなのに、災厄は続きます。
 被災1ヶ月後の状況を、簡単にレポートします。

              (写真は最後の4枚以外、2015年10月10日撮影)

 キハ200の側面サボは、上から紙を貼って月崎行きとなっています。
 まずは里見へ。途中、一部の切り通しで土砂崩壊の跡を見ました。
 里見駅で列車交換。一時期無人駅となり、列車交換もありませんでしたが、2013年春から奇跡的に有人駅に戻り、列車交換も復活しています。かつては2番線を使っていた上り列車は、今は3番線から発車します。
 
 2番線は、11月から運行開始予定の「里山トロッコ列車」が、将来里見始発になったときに使用するのでしょう。なお当面は、上総牛久〜養老渓谷間で運転されます。「里山トロッコ列車」のためにも、早く全面復旧するといいですね。

 里見駅を、道路側から見るとこんな感じ。のどかで、静かな駅です。
 上総中野方に少し歩いた踏切は、定番の撮影地。今日もパチリ。

 さて、前述の2番線に、今日はこんな編成が止まっています。復旧工事のために、五井からやってきたのです。
 いいなぁ、この編成。軌道モーターカーと木造古典貨車ですよ。
 モーターカーは、いすみ鉄道より譲り受けたもの。その際は、上総中野駅3番線外側の側線を通って入線しました。あまり知られていないようですが、いすみ鉄道と小湊鐵道の線路はつながっているのです。
 古典貨車は、当サイトでおなじみのトム11。開業時に新製されたもので、車齢は90年余り。
 モーターカーはつまり小型のB型DLですから、遠い昔の地方私鉄のような情景です。この編成が田園風景を走るところを、ぜひ見てみたいものです。
 

 モーターカーのキャブ後ろには、鉄パイプでやぐらが組まれ、ライトが付けられています。夜間作業の照明用なのか、あるいは現場が昼なお暗い場所なのかもしれません。
 トム11は、単独で見るより機関車に繋がれている方が立派に見えます。
 こんな古典貨車を本線上で見られるのは、日本中でたぶんここだけでしょう。

 トム11には、復旧作業用の資材と思われる物が積まれています。左写真ではアオリ戸の陰になっていますが、木製ベンチも積んでいます。作業現場への資材と人員の輸送に使っているのでしょう。
 

 さて、いよいよ月崎へ行きます。
 里見〜月崎間も土砂崩れの跡がありました。

 月崎に着いてみると、線路はやはり、駅構内の外れから錆び付いています。
 乗ってきたキハ200は乗客を降ろすと、なぜかそのあたりまで走って止まりました。
 さて、ここからは代行バスです。

 駅前には、代行バス「バナナ住宅」号がいます(笑)。

 でもこのバス、なかなかあなどれません。乗ってみると、床は木製。半鋼製のバスは、久しぶりに乗りました。
 バスが動き出してからは、目をこらして車窓を注視します。
 途中、月崎〜上総大久保間で被災地と思われる場所を1ヵ所見ましたが、他は何ともなさそうです。道路から線路が離れる場所もあるのでそこはわかりませんが、車窓から見えたあの場所は不通区間の1つなのでしょう。
 小湊鐵道のサイトでは「上総大久保〜養老渓谷間で盛土崩壊」とのことですが、その部分は見えませんでした。
 養老渓谷でバスを降り、上りの代行バスに乗り換えます。今度は普通のバスでしたが、床面はやはり木製でした。
 さて、問題の場所です。
 2つのトンネルに挟まれた切り通し区間に、鉄パイプでやぐらが組まれ、山側の法面には板が当てられています。
 ここの法面が崩壊し、線路が埋まってしまったのでしょう。
 道路脇ですので、月崎で降りて歩いて行こうかと思いましたが、時間の関係であきらめました。次の上り列車は2時間後なのです。
 月崎から2km弱でしょうか。歩くなら、上総大久保の方が近いようです。

 月崎駅前に、ふだんはいるはずのない小湊バスがいます。
 ここを含め、開業当初からの駅は皆、広い駅前広場があります。いつもはガランとしていますが、今回はこの広さが幸いしています。開業後に設置された上総大久保は、駅前が狭くてバスが入れず、代行バスは近くの郵便局前に止まっている状態ですから。



 被災区間はこの2週間後、10月24日に復旧しました。

 全線開通の1ヶ月後、「里山トロッコ列車」の試乗会で養老渓谷駅に行ったら、復旧作業に使った残りと思われるレールとバラストが積んでありました。
 古枕木もありましたが、これは被災区間から外した物でしょうか。


       (2015年11月11日撮影)
 「里山トロッコ列車」の五井方先頭車クハ101は、前面展望が抜群です。そのため、被災区間もよく見えました。
 左写真は、前月訪問時に見えなかった「上総大久保〜養老渓谷間で盛土崩壊」の場所。こんな所に築堤があったのか、と驚くような山中です。「資材を現地に運ぶのが大変だった」そうですが、確かにそうでしょう。
 右写真は、上で説明した月崎近くのトンネル手前。崩壊した斜面は、真新しいコンクリートの擁壁となっています。
       (2015年11月11日撮影)
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