小湊鐵道「里山トロッコ列車」C 前ページへ 実物鉄道へ 表紙へ

 2015年11月15日(日)、小湊鐵道「里山トロッコ列車」の運転が始まりました。

 私も張り切って早起きし、一番列車に乗ってきましたので、運行初日の様子をレポートします。

 4日前の試乗会の時は好天でしたが、今日は朝から雨が降っています。予報では、午前中はずっと雨とのこと。トロッコ列車向きの天候ではありません。

 でも、小湊鐵道始まって以来の一大快挙の日ですから、雨など気にしていられません。



   (写真は全て2015年11月15日撮影)

 「里山トロッコ列車」は本日3往復、6号まで走ります。私は最初の2本、1号と2号を予約しました。

 電話予約の際は、いかにも小湊鐵道らしいホンワカした対応で、心が和みました。時間に追われる都会人の方は、いささか面食らうかもしれませんが。

 五井駅で一日乗車券を買いましたが、他に500円でトロッコ整理券も買わなくてはなりません。受付で予約済である旨を申し出たら、受付番号を聞かれました。はて…ハテ…ハテ101。受付番号なんて聞いてませんが。

 ともあれ、1号の整理券を無事購入。2号の券は養老渓谷駅で購入してほしいとのこと。

 階段を下りると、3番線には「里山トロッコ1号」の接続列車となる、上総牛久行きがアイドリング中です。キハ200が2連なのは、通常の乗客に加えてトロッコ列車の乗客を運ぶためでしょう。
 

 4番線の外側の側線には、いつの間にかトム11が戻っています。4日前は機関庫の前にいたのに。近年、トム11はここが定位置になっていましたが、なぜなのでしょうね。

 機関庫前には、いすみ鉄道から譲り受けたモーターカーが戻ってきています。土砂災害の復旧作業、お疲れ様でした。

 30分弱で上総牛久着。列車は3番線に到着し、向かいの2番線にはトロッコ列車が停車中です。

 トロッコ列車は、私の乗った列車の前に、五井から回送されてきたのです。
 DB4は、煙突だけでなくドレンコックからも白煙を出すので、SLらしさは十分です。

 ハフ101は来賓専用車。他の3輌には一般の乗客が乗り、乗車率は8割くらいでしょうか。

 8:29、ホーム上の駅員さんや知人、地元の方々に見送られながら発車です。特にセレモニー等はなく、拍子抜けしました。

 ピーという汽笛が、いい感じです。

 試乗会の時は里見〜養老渓谷間しか乗らなかったので、この区間は初めての乗車です。

 里見から先のように山深い感じはないものの、のどかな田園風景は素晴らしく、見ていて飽きません。

 いずれ里見〜養老渓谷間の運転のみになるということで、この区間を楽しめるのは今のうちです。

 私が乗ったのは、ハテ101。

 窓のない展望車ですから、雨が多少は吹き込みます。でも、このワイルドな感じはいいかも。自然と一体になる、という趣旨ですから、こんな日はまさに自然を直接肌で感じられますね。

 一応、雨合羽は持ってきたのですが、着ないことにしました。

 幸い風がなく、大して濡れませんでした。
 
 里見駅に着くと、何やら大変な人出です。

 車内放送によれば、記念式典を行うとのこと。ホームからは「高滝神社が〜」という声が聞こえるので、神主さんも来ているのでしょう。テープカットの準備も行われているようです。全然見えませんけど。ブラスバンドの演奏も聞こえます。

 3年前まで人気のない寂れた無人駅だったのが、今となっては信じられない賑わいぶりです。

 テープカットも無事終わったらしく、列車は発車します。見送りの彼(彼女?)は、いったい何者でしょうか。
 養老渓谷では、「2号に乗られる方もいったん改札を出てください」と放送があり、その通りにします。すると、待合室でわらしべ長者町さんと遭遇。実は昨日、一緒に仕事をしたばかりなのですが、ご縁がありますね。

 整理券の販売は、なかなか始まりません。私を含むほとんどの乗客はまあこんなものだろうと鷹揚に構えていましたが、声を荒げる男性がいたのには閉口しました。都会とここでは、時間の流れが違うんですけど。

 結局、整理券は車内で購入。2号で上総牛久へ戻ります。

 今度はハテ102に乗車。乗車率は、4割くらいかな。雨は小降りになりました。

 車内では、石川社長から丁重にご挨拶をいただきました。社長さんは試乗会の時と同様、揺れる車内でずっと立ったまま、案内をなさっています。ご活躍、頭が下がります。図々しい私は、「いっそ、ずっと上総牛久〜養老渓谷間の運行でいいんじゃないですか」と聞いてみましたが、諸事情あって難しいようです。

 定刻に上総牛久へ到着。

 ハフとクハの車体側面には、羽目板のような縦筋が彫り込まれ、リベットらしきものも再現されています。もちろん、サボも付いています。

 クハの前面には、ヘッドマーク付きです。上り列車は、本車が先頭に立ちますから。

 考えてみれば、2軸車4輌の推進運転というのは日本の鉄道史始まって以来、初めてかもしれませんね。

 2番線ホームから下回りをみると、なかなか面白い構造です。

 リンク式の2軸客車なんて、構造は100年前と変わりませんよ。それが新製車とは。

 ハフとクハは窓があるのでエアコンが2台ずつ付いていますが、これが何と家庭用。鉄道車輌で家庭用のエアコン付きなんて、過去にあったでしょうか。床下には、しっかり室外機まで付いているのです。何だか、すごい光景です。

 養老渓谷から2号に乗車していたわらしべ長者町さんが上総久保で3号を撮るというので、私も同行しました。

 駅近くの道端で、同業者の方々10名くらいと待つことしばし、3号が来ます。乗客はたくさん乗っていて、満席のようです。

 運転士さんや車掌さん、そして乗客の皆さんが我々に手を振ってくれます。

 いいなぁ。

 笑顔がたくさん見えます。

 乗るのもいいけど、こうして眺めるのも楽しい列車です。

 近々、また来よう。わらしべ長者町さんと一緒に駅へ戻りながら、私はもう次回の訪問のことを考えていたのでした。



  ※5日後、2回目の営業運転中にDB4のサイドロッドが破損し、そのまま運休となりました。

   2016年の3月18日より、サイドロッドを外した状態で運転を再開しました。
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