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(軌陸車 里見~飯給 2019.12.21)


 軌陸車が活躍している里見駅付近から、尾根を超えて飯給駅の方へ向かいます。
 崩壊した切り通しの向こう側を見ようというわけです。

 今日は愛車「ブロンプトン号」同伴ではないので、道路をテクテク歩き、坂を上り下りします。

 やがて、線路と踏切が見えてきました。
 この踏切、名称が読めません…。

 尾根の反対側にある踏切から切り通しを見ると…うわーっ、これはひどい。

 線路が土砂で埋もれています。

 左写真中央を拡大したのが右写真。
 これでは当分、列車が走れそうにありません。

 先ほどの軌陸車は、この向こう側の土砂を運び出しているのでしょう。

 やがて背後からトラックが1台…あれっ?

 軌陸車じゃないですか!

 さっきの軌陸車とそっくりですが、ナンバーが違います。
 つまり、切り通しの向こうとこちら、2台いるわけです。
 
 こちらの軌陸車は、線路の近くに土砂を捨てる場所が無く、この踏切から道路を走っているのでしょう。


 軌陸車は踏切上で停止しました。すると近くの乗用車内で待機していた作業員の方が、レールに載せる準備を始めました。
 車体中央にあるジャッキを降ろし、それを支えにして90度方向転換するのです。

 見ていた限り、車体を回転させるのに、それほど力はいらないようでした。
 車体がレールと平行になると、ジャッキを作動させて車体をゆっくり下ろします。
 あとはレール上を、バックで切り通しへ向かいます。
 
 

 パワーショベルが動き出し、土砂を搭載します。

 先ほどの作業員の方のお話では、積み過ぎると踏切上での方向転換がうまくいかないのだそうです。


 やがて土砂を積んだ軌陸車が戻ってきました。

 踏切上で再びジャッキを降ろし、車体を持ち上げます。
 踏切には古枕木製の防護柵があり、それを避けるために車体前部を持ち上げなくてはなりません。
 なるほど、土砂を満載してしまうとバランスを取るのが難しそうです。踏切は築堤上にあるため、下手をすると車体が後ろから向こう側へ転げ落ちてしまうかも。



 方向転換は無事終了。
 車体を降ろし、トラックに戻った軌陸車は、いずこかへと走り去りました。

 後でわかったことですが、最初に見た里見駅3番線外側のパワーショベルがいた場所へ、土砂を運んでいたのでした。
 方向転換があり、一般道も走る分、向こう側の軌陸車より作業が大変です。

 そして作業員の方から、驚くべき情報が。
 切り通しを塞いでいる土砂は、何と作業のために積んだものなのだそうです。
 切り通しの上部を削る必要があり、そのままではパワーショベルのアームが届かないため、土台として積み上げたのだとか。
 今はその撤去作業中とのことでした。
 

 里見駅に戻ると、最初に見た軌陸車が土砂を下ろしている最中でした。ずっと現場との間を往復しているのですね。

 駅前には代行バス「バナナ住宅」号が。

 「バナナ住宅」号に乗車、上総中野駅へ向かいます。
 関係者のお話では、養老渓谷~上総中野間でも復旧作業をしているとのことでしたので、様子を見たかったのです。

 上総中野駅で下車、養老渓谷へ向かって歩きます。途中、板谷トンネル手前の踏切を渡るとき、赤いパワーショベルが見えました。
 そしてよく見ると、その向こうにもう1台の軌陸車が!
 
 軌陸車は結局、少なくとも3台は活躍していたわけです。

 ただ、ここは休憩中なのか、軌陸車は動いていませんでした。
 私はそのまま養老渓谷まで歩き、家路についたのでした。

 
 
 見物して写真を撮っただけの私でしたが、被害の大きさと作業の大変さはよく伝わってきました。
 関係者の皆さまのご苦労を思うと、頭が下がります。

 そして1週間後、私は再び里見駅へ降り立ったのでした。
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