秋田内陸縦貫鉄道 実物鉄道へ 表紙へ

(AN8900形2連 鷹巣 1997.3.25)


 秋田内陸縦貫鉄道は、国鉄阿仁合線と角館線を第三セクター化した路線です。
 当初は国鉄から払い下げてもらったキハ22を使用していましたが、1988年に両線の中間部分が全通した際、新車に置き換えられました。
 左写真のAN8900形は、その翌年に急行「もりよし」用として5輌新製された気動車です。地方の第三セクターとはいえ全長100km近い長大路線ですから、有料急行が必要なわけです。
 急行は当初、2往復でしたが、その後1往復に削減され、現在は1往復半です。

(AN8904+8905 鷹巣 2011.12.23)


 AN8900形は、クロスシートで各車1ドア、前面展望も側面展望も良好な優秀車輌でした。
 女性アテンダントも乗車し、車内販売も行われていました。路線の大部分が新しいこともあり、高速で走ります。急行料金を徴収するのにふさわしい列車でした。
 
 沿線は人工物のあまり見えない、雄大な自然の中を走ります。特に後から開通した新線部分は全くの山岳路線で、AN8900形の前面展望は圧巻でした。

(AN8905+8904  阿仁合 2011.12.23)


 ANR8900形は片運転台でANR8901〜8904の4輌があります。
 この他に、両運転台の準同型車ANR8905があり、左写真のように組み合わせて2連にしたり、中間に挟んで3連にすることもできます。
 本来は、急行を2編成運用するための予備車でした。

 後に「宝くじ号」として、ANR2001が新製されています。片運転台の準同型車で、イベント用ですが、あまり使われていないようです。

(AN8803 阿仁合 2011.12.23)


 秋田内陸縦貫鉄道の主力車が、AN8800形です。新潟鐵工製の標準的なNDCで9輌あり、1輌ごとにカラフルな塗装に塗られています。 
 2012年3月までは、ほぼ普通列車用でした。

(AN8803他 阿仁合 2011.12.23)

(AN8805 鷹巣 2012.3.26)


 AN8800形は、8804のみが本来の塗装で、他は全て単色塗装です。
 8808はお座敷車輌に改装されているそうですが、私はまだ乗ったことがありません。

(AN8803 阿仁合 2012.3.26)

(AN8806 阿仁合 2012.3.26)

 2012年3月のダイヤ改訂で本数が減り、急行はAN8800形の単行となってしまいました。「急行」表示は、パソコン印刷のA4の紙を運転台に掲示するだけ。車内はもちろん普通列車と同じで、「急行料金を払っているのに…」とぼやきたくなります。
 女性アテンダントによる車内販売も、2012年3月末で終了してしまいました。
 この日、急行の乗客は、我々以外は通学の女子高生ただ1人。これではやむを得ないのでしょうが、残念です。

(AN8806 鷹巣 2012.3.26)

(AN8905他 阿仁合 2012.3.26)


 急行用車輌は役目を終え、阿仁合に留置されています。
 今後、多客時や臨時列車として走ることはあるとはいうものの、6輌も必要とは思えず、先行きは不安です。

(鷹巣 2011.12.23)


 秋田内陸縦貫鉄道は、個性的な駅舎が特徴です。
 奥羽本線と接続する鷹巣は、JRとは別に木造平屋の駅本屋があります。ちょっと山小屋風の、感じのいい建物です。

(阿仁合 2012.3.26)


 沿線最大の駅、阿仁合の駅本屋は、対照的に斬新で巨大な建物です。中は吹き抜けで広々としており、売店があります。「こぐま亭」という食堂もあって、カレーライスなどの他、「馬肉丼」や「馬肉ラーメン」も食べられます。馬肉は当地の名物なのです。好みは分かれるでしょうが、私にはなかなかの美味でした。
 車輌基地もあり当線の中枢ですが、駅前は閑散としていて、商店街にも人影はありません。
 阿仁合は、古くは銅山の町として栄えていたものの、現在はすっかり寂れています。でもここ以外に目立った町はなく、経営の厳しさが伺えます。

(角館 2011.12.23)


 田沢湖線と接続する角館は、やはりJRとは別に駅本屋を構えます。小さくまとまった木造駅舎です。
 駅前の丸形ポストが良いアクセントとなっています。

(ANR8  阿仁合 2011.12.23)


 当線は文字通り秋田の内陸部を縦断するため、冬場の自然条件は過酷です。積雪量が多いので、除雪費用がかなりかかることでしょう。
 この日も、一部列車に遅れが出ていました。

(阿仁合 2011.12.23)

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