熊本市交通局 実物鉄道へ

 〔1356〕

 現存する路面電車は、何となく西高東低の傾向があるようです。
 熊本の市電は、広島や岡山、長崎などと同様に活気があります。乗客が多い上、電車の本数も多くて待たずに乗れます。
 電車が買い物客を運んできてくれるので、商店街も賑わっています。交通機関が街の重要な役割を果たしている好例と言えるでしょう。

 電車の大半は、熊本市交通局のオリジナル車輌なのが特徴です。写真の1350形は、1960年製の350形をワンマン化した車輌。旧型車の中では比較的新しい車輌で、なかなかスマートです。


   (2008.11.1 熊本駅前)

 〔1203〕

 熊本でJR鹿児島本線の上り列車に乗車すると、次が上熊本。ここの駅前が熊本市電の終点です。
 電停とはいえ屋根があり、なかなか立派です。
 写真の1200形は、1958〜59年製の200形をワンマン化した車輌。最近の新製車に混じって、今なお終日、主力として活躍中です。
 ところで、駅前広場をはさんで向かい側には、熊本電鉄の上熊本駅があります。一見、ちょっと線路を延ばせば直通運転ができそうですが、軌間と架線電圧が異なり、現状では不可能。熊本電鉄はターミナルが不便で苦戦中なだけに、残念です。



   (2008.11.1 上熊本駅前)
    

 〔左1203・右1201〕

 上熊本駅前電停に進入する直前、電車は車庫の脇を通ります。これは2002年に交通局前から移転してきた、新しい施設です。熊本市は路面電車を重要な交通機関と位置づけ、積極的な投資をしているようです。
 その右側が、JR鹿児島本線です。



   (2008.11.1 上熊本駅前車庫)

 〔1081〕

 1080形は、1954年製の180形をワンマン化した車輌。熊本市のオリジナル車の中では古い部類に属し、主に朝ラッシュ時用となっています。



    (2008.11.1 上熊本駅前車庫)

 〔5000形〕

 5000形は、数少ない他社から来た車輌。1957年製の元・西鉄福岡市内線1000形連接車です。
 車齢50年を超えている上、超低床連接車の増備が進む今は、平日の朝ラッシュ時くらいしか動きません。
 


    (2008.11.1 上熊本駅前車庫)

 〔左101・中8504・右1091〕

 こちらは交通局前の旧車庫の現状。
 線路は一部残っていて、留置線として使われていました。
 左の101はレトロ調ですが、1993年製のVVVF制御車。
 隣の8504は1986年製で、1200形の機器流用車。
 右の1091は、1957年製の190形をワンマン化した車輌です。



   (2008.11.2 交通局前)

 〔1205〕

 上熊本を発車した電車は繁華街や熊本城下を走り、やがて終点の健軍町へ到着します。賑やかな商店街もここで終わり、といった感じの電停です。



   (2008.11.2 健軍町)

 こちらはオマケ。
 加藤清正の築城になる熊本城です。
 ご存じの通り、天守閣をはじめ主要な建物の多くは西南戦争の時に焼けてしまったので、後に復元されたものですが、美しいカーブを描く石垣は、ほぼ昔のままだそうです。
 電車は、この城のすぐ下を走ります。

 〔1353〕

 市内三方向へ伸びる路線の、もう一つの終点が田崎橋。熊本駅前を通り過ぎて、500m程走った所です。
 何の変哲もない道路上で突然線路が終わっている感じで、周辺は人通りも少なく、どうしてここが終点なのかよくわかりません。乗客の大半は、熊本駅前で降りてしまいます。
 でも、その分落ち着いた雰囲気があり、ここで折り返し時間を、のんびり車内で待つのも良いものです。



    (2008.11.2 田崎橋)
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