阪堺電気軌道① 2020.4.22新設
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(モ161 安立町~我孫子道 2020.1.2)


 大阪市電無き今、大阪に残る唯一の路面電車が阪堺電気軌道です。遡れば1900年開業の大阪馬車鉄道に至る、歴史ある路線です。
 1980年に平野線が廃止されて以降、上町線と阪堺線の2路線となりました。

 現在は天王寺駅前から出る上町線が本線のような扱いで、住吉から阪堺線に直通して浜寺駅前まで走ります。
 阪堺線は通天閣近くの恵美須町から浜寺駅前までですが、電車は車庫のある我孫子道で折り返します。浜寺駅前方面には、上町線からの直通電車へ乗り換えとなります。
 大阪市南部から堺市にかけての市街地を走る路線ですが、沿線の情景はかなり変化があります。
 1928年製のモ161形から最新の超低床連接車まで、バラエティに富んだ車輌も魅力的です。
 車輌については、次ページをご覧ください。

(恵美須町 2019.12.31)


 阪堺線の起点、恵美須町です。
 難波の南で、通天閣の最寄り駅ですが、接続するのは地下鉄のみです。
 近代的なビルの狭間に、古びた駅が埋もれるようにあります。

(恵美須町 2019.12.31)

(モ166 恵美須町 2020.1.1)


 ホームは3面2線で路面電車の始発駅としてはそれなりの大きさでしたが、乗客は少なく、電車の本数もかつてより大幅に減ってうらぶれた感じがしました。

 2020年の年始に訪問したときは、新今宮方に新しいホームを建設中でした。
 駅を移設し、今までの駅を壊して商業ビルを建てるようです。
 電車の本数が減ったのでホームは1面で足りるのでしょうが、地下鉄の駅からは遠くなります。

(恵美須町 2020.1.2)

(モ351 新今宮~恵美須町 2019.3.27)


 恵美須町を発車した電車は、しばらくは複線の専用軌道を走ります。
 でもそこは、やはり路面電車。
 線路のすぐ側まで居酒屋や住宅がひしめき、レトロな雰囲気が横溢しています。

 線路はやがて併用軌道になり、住吉で上町線と合流します。

(モ503 安立町 2017.3.26)

(天王寺駅前 2017.3.26)


 上町線の起点、天王寺駅前は恵美須町と対照的に、近代的な構えです。
 左写真で陸橋を降りた先にあるグレーの建物が駅本屋。
 1面2線のホームは右が降車、左が乗車となっています。周囲を壁で囲まれ、安全で風も当たりませんが、ちょっと窮屈な感じもします。
 線路はPC枕木が敷かれ、先を見ると緑化工事が施工済です。
 架線柱はセンターポール化され、頭上の架線も煩わしくありません。

(モ501 天王寺駅前 2017.3.26)

(モ604・1001ABC 帝塚山三丁目 2020.1.1)


 天王寺駅前の道路は広々としていて、周囲にビルが建ち並んでいます。

 でも帝塚山三丁目から四丁目のあたりは、普通の商店街を電車が走る感じです。
 交通量がそれほど多くなく、写真も撮りやすくて、カメラ片手にのんびり散歩するのに良い場所です。

(モ162 帝塚山四丁目~帝塚山三丁目 2020.1.1)

(モ166 神ノ木 2020.1.1)


 帝塚山四丁目から、再び専用軌道になります。これは次の神ノ木で、南海電鉄高野線をオーバークロスするからです。

 神ノ木は高野線を越えてすぐの、築堤上にある停留所。階段を降りると、高野線の電車を撮ることができます。

(6373他 帝塚山~住吉東 2017.3.26)

(モ505・モ711 住吉 2017.3.26)

 
 神ノ木の次が住吉。ここで阪堺線と合流します。

 上町線は本来、阪堺線を横断して左写真の手前側、住吉公園まで延びていました。

 右写真では左側に、当時の架線柱が残っています。電車はこの下をくぐっていたのでした。
 この区間は残念ながら2016年に廃止され、現在上町線の電車はここから阪堺線に乗り入れ、浜寺駅前へ向かいます。

(モ166 住吉 2020.1.1)

(モ505 住吉鳥居前 2017.3.26)


 住吉の次が住吉鳥居前。
 この2つの停留所は住吉大社への最寄りで、住吉公園停留所が無くなった今、正月の初詣輸送時は両停留所の間に仮設ホームが設けられ、参拝客をさばきます。右写真がそれです。

(モ166 住吉(仮) 2020.1.1)

(モ502 我孫子道 2017.3.26)


 恵美須町から来た阪堺線の電車は、我孫子道で折り返します。
 天王寺駅前から来た上町線の電車も半数はここで折り返すので、我孫子道以南は本数が大きく減少します。

 我孫子道には大和川検車区が併設され、ふだんはあまり動かないモ161形等が寝ています。
 折り返す電車も、いったん検車区の線路へ入り、それから反対側ホームへ入線してきます。

(モ161他 大和川検車区 2017.3.26)

(石津 2017.3.26)


 終点の2つ手前、石津も魅力的な停留所です。
 年季の入った低いホームに、簡素でバランスの取れた上屋が良く似合っています。
 背後の近代的マンションとの対比が、何とも面白いものです。

(モ711石津 2017.3.26)

(モ708 船尾~石津 2017.3.26)


 石津停留所周辺は、小規模な商店街と住宅地です。
 静かな街に、踏切警報器の音が響き、良い感じです。

 唯一、広告電車ばかり来るのが残念でしたが。

(モ504 船尾~石津 2017.3.26)

(1002ABC 浜寺駅前~船尾 2017.3.26)


 終点の浜寺駅前と、1つ手前の船尾との間は1.2kmもあり、途中で南海電鉄本線をオーバークロスします。
 その前後でかなりの急勾配を上下しますが、これが可能なのが路面電車の長所ですね。

(1002ABC 浜寺駅前~船尾 2017.3.26)

(モ166 浜寺駅前 2020.1.1)


 浜寺駅前に到着した電車は、駅本屋の手前の路上で乗客を降ろします。
 一見、普通の路面に見えますが、ここが降車ホームなのです。

(モ161 浜寺駅前 2019.11.4)

(1003ABC 浜寺駅前 2017.3.26)


 浜寺駅前には好ましい駅本屋が建ち、その前が乗車ホームです。
 年季の入った木造駅舎に、最新の1001形が並ぶと面白い光景です。

 南海電鉄本線の浜寺駅は、左写真の右方向へ少し歩いたところにあります。

(1003ABC 浜寺駅前 2017.3.26)

(モ162 天王寺駅前 2020.1.2)


 1928年製のモ162が大勢の乗客を乗せて走ります。正月の初詣客輸送ですが、特別なイベントではなく通常の運行です。
 背後にそびえる「あべのハルカス」は、日本で最も高い超近代的高層ビル。
 この対比が何ともシュールです。

 阪堺電気軌道の魅力は、奥が深いものがあります。
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