頸城鉄道ホジ3 前ページへ 実物鉄道へ 表紙へ

 自走するホジ3。まさか実際に走っているところを見ることができるとは、奇跡のような出来事です。
 さらに乗車までできました。子どもの頃からの夢がかなった瞬間でした。
 運転士さんのご厚意で、発車時にタイフォンを鳴らさせていただき、盛大なエンジン音とともに動き出します。車体は細かく振動し、独特の乗り心地です。 
 ホジ3の運転士さんは、「何かの記念物に指定してほしいよ」とおっしゃっていましたが、全く同感です。これほど貴重な車輌なのに、何の指定もされていないのですね。
 日本では、古い鉄道車輌というと蒸機の保存にばかり目が向くようです。確かに蒸機も大切な産業遺産ですが、他の車種が軽視されがちなのは私には不満です。蒸機以外にも、技術的に貴重な車輌はたくさんあるのに。
 特に、頸城鉄道が独力で設計改造した本車には、地方私鉄の柔軟な発想と、たくましさを感じます。
                    (写真は2014.10.25撮影)

 元は木造客車ですから、床下にはトラス棒が付き、台車は軽便客車の標準であるアーチバー台車です。
 そこにディーゼルエンジンと変速機、逆転機を付け、ユニバーサルジョイントで結んで駆動しています。
 まるで鉄道模型ですね。

 車内はまるで古民家です。鉄道車輌というより家具のような造作で、座っているだけで心が落ち着いてきます。こんな居酒屋があったら、きっと大繁盛でしょうね。
 中央に見える四角い箱は、エンジンカバーです。
 車内にエンジンカバーがはみ出すのは、初期の気動車にはありがちでしたが、通常はせいぜい、車端部にラジエーター部分が出るくらいでした。客室の中央にこんな大きなカバーがあるのは珍しく、現存車輌ではむろんホジ3だけです。

 運転室も独特です。
 運転席は、座り心地が良さそうですね。
 右写真を解説すると、右端に床から伸びている棒がタイフォン、その左が手ブレーキハンドル、中央の床にあるのは何とアクセルです。つまりこれを踏んで加速するわけで、まるで自動車ですね。
 その左がシフトレバーで、運転時以外は取り外します。昔のバスやトラックと同じです。
 一番左がブレーキハンドルです。

 運転室は半室で開放型、右側は最前部までロングシートが伸びています。
 私はここに座りましたが、前面展望はむろん最高でした。
 客室ドアから乗車する際、目の前にあるのはエンジンカバー。
 高さのあるディーゼルエンジンを床の低い客車に積んだため、こうなっています。現役時代は荷物置き場として使われたそうです。

 運転室と客室の天井です。
 100年前の車輌だけあり、天井の造りも凝っています。
 吊革の留め金まで、優雅な形状をしているのはさすがです。

 台車はご覧の通り。アーチバー台車を盛大に補強していますが、原型はとどめています。

 行き先表示板も、味がありますね。

 テールライトを輝かせて走り去っていくホジ3。
 長い眠りから覚めて復活し、再び大勢のお客さんを乗せて走っています。
 まさかこの光景を、現実に見ることができるとは。
 鉄道車輌はやはり、走っている時が一番輝いていますね。
 「くびき野レールパーク」を訪れて、本当に良かったと思います。
 まだ行ったことのない方は、次の公開イベント時に、ぜひ参加してみてください。
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