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(223系4連・183系10連 大垣 2009.9.6)


 優等列車の大半を失った東海道線は、今や偉大なるローカル線となっています。
 それでも路線が長いだけあって、車種は多様で楽しめます。
 左写真は少し前に撮影したものですが、国鉄183系とJR223系の新旧揃い踏み。臨時夜行快速「ムーンライトながら」として大垣に到着した183系と、乗り換え客を待つ223系が並んだところです。
 国鉄色の183系も今や貴重な存在でしたが、一方の223系は通勤電車として秀逸な車輌です。外観、内装、性能、そして何といっても接客設備が抜群です。こんな車輌で通勤や通学ができる関西の乗客が、うらやましい限りです。
 比較すると、私が日頃利用しているJR東日本の最新通勤電車の、何と貧相なことか。あの固いロングシートに座るたびに、「乗客が人間なんだとわかってくれよ」と叫びたくなります。

(165系11連 東京 1998.12.30)


 東海道線の普通列車で忘れられないのが、「臨時大垣夜行」です。
 「ムーンライトながら」の前身である定期大垣夜行は、当初自由席でした。ところがシーズン中に猛烈な混雑となったことから、救済列車として姉妹列車が臨時に運転されることになったのです。定期列車と同様に急行型を使い、普通列車とはいえ実質的に快速列車でした。
 定期列車が373系の「ムーンライトながら」になっても、臨時列車は長らく165系や167系を使っていました。希に115系が使われたこともありましたが、やはり評判が悪かったようで、すぐに急行型に戻りました。
 昔の急行のように、モーター音も頼もしく、かなりの高速で疾走していたのが印象に残っています。
 上りは大垣から東京まで行きましたが、ホーム容量の関係で下りは品川始発の場合が多かったのも特異でした。自由席なので、発車時刻のはるか前から品川駅ホームに座り込み、軽く一杯やりながら電車を待ったのも思い出です。
 臨時列車なのに、定期列車より早く大垣に着くのも魅力でした。関西まで行く場合はもちろん、岐阜周辺をまわる場合、早朝に着くので一日が有効に使えました。夜に上りに乗れば、時間と宿泊費の節約にもなりました。
 

(373系9連 東京 2009.3.27)

 近年まで東海道線普通列車の代表格だったのは、早朝 5:20に東京駅を発車する静岡行きでした。
 各駅停車とはいえ、JR東海の373系を使っていたので、かつての特急「東海」を彷彿とさせる編成でした。行き先も同じ静岡でしたから、安価に乗れる「東海」だとも言えました。
 前述した「貧相な最新通勤電車」の跋扈する首都圏にあって、異色の存在でした。
 定期「ムーンライトながら」が無くなってから、乗り換え無しで静岡まで行けるこの列車は、実にありがたい限りでした。
 ゆったりとした座席で、モーニングコーヒーを飲みながら朝の都会を眺めるのもオツなものでした。残念ながら、2012年3月のダイヤ改訂で、沼津止まりとなってしまいました。

(373系9連 静岡 2009.3.28)


 東京発静岡行き下り列車の折り返しが、静岡発東京行き普通列車でした。
 こちらは夜なので、モーニングコーヒーより缶ビールと駅弁が似合いました。
 2つの普通列車を組み合わせると、東海地方へ安価に日帰り旅行が楽しめたのです。
 多忙な毎日の隙間に見つけた休日を、有意義な一日にしてくれる列車でした。
 
  

(113系11連 東京 1998.8.7)


 東海道線の普通列車といえば、やはり湘南電車でしょう。
 私の年代では、80系ではなく、113系の湘南色ですが。
 113系は外観も性能も、至って平凡な電車でしたが、それなりに旅行の情緒は感じられました。

(211系5000番台3連 熱海 2011.9.12)


 113系を置き換えた211系は、近郊型としてそれなりによくできた電車だと思います。窓が大きく、乗り心地もまずまずでした。
 ただ、当初セミクロスシートで登場しましたが、その後大半はロングシート化され、JRになってから新製された車輌も同様でした。そのため、長時間乗るにはやはり向いていません。
 その上、ご覧の通り短編成化が進み、混雑が激しい場合が多く、のんびりとした旅にはなりにくいのです。駅弁を買っても、結局は駅のベンチで食べることになります。
 なお、短編成でロングシートなのは、JR東海の313系も同じです。
 ちなみに、名鉄と並行する豊橋以西は、313系の編成が長くなり、転換クロスシート車が充当されます。
 競争相手がいない所で手を抜くのは、営利企業としては当然なのかもしれませんが、乗客を見下しているようにも思えて、面白くありません。

(EF210+コキ 金谷 2009.3.27)


 本ページのテーマである普通列車とは離れてしまいますが、東海道本線の現在の主役は貨物列車です。昼間だけでなく夜間も、次々に長編成の貨物列車がやってきます。途中駅で眺めていると、「これだけの量の貨物をトラックで運んだら、何十台必要なんだろう…」と考えさせられます。地球環境の面から、やはり鉄道は有益な交通機関なのだと改めて感じます。
 現在はむろんコンテナ車ですが、2012年3月まではワム80000の紙輸送列車も健在で、趣味的にも楽しめる路線でした。
 

(ワム80000 吉原 2009.3.27)

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