2015〜6年北日本旅行記 そのC 前ページへ 旅行記へ 表紙へ
2015.12.30

 旅の4日目は、留萌本線が目的です。
 留萌本線は魅力的なローカル線ですが、残念ながら乗客は少なく、末端部の留萌〜増毛間は2016年12月に廃止が予定されています。
 札幌からは大した距離ではないのですが、そこは北海道。列車本数が極端に少ない上、接続も悪いので、撮影どころか乗車も容易ではありません。
 本来は大雪原の中を行くキハ54を撮りたかったのですが、早々にあきらめました。
 とにかく、終点の増毛まで行って帰ってくるだけで一日かかってしまうのです。
 かつて留萌本線からは留萌鉄道や天塩炭礦鉄道が分かれていましたが、これらの私鉄を訪問して撮影した諸先輩方は、さぞ大変だったことでしょう。

 さて、ホテルで朝食を済ませたら、札幌駅へ歩きます。
 現在の札幌駅は高架化され、ホームはすべて屋根で覆われていて暗く、撮影向きではありません。
 乗車したのは函館本線の普通列車岩見沢行き。オールロングシートの731系3連です。9:36定刻に発車し、岩見沢には4分遅れの10:25に到着。ここで721系3連の普通列車に乗り換えます。
 721系は普通列車用なのにオール転換クロスシートで乗り心地も良く、足も速くていい電車です。
 10:30定刻に発車。途中、滝川で長時間停車します。駅構内は雪に覆われていますが、運転には支障なさそうです。天気も上々です。
 12:13にようやく、留萌本線の始発駅、深川に着きます。 

 留萌本線の次の下り列車まで、ちょうど1時間あるので駅を出て、昼食を食べることにします。
 向かったのは以前、やはり留萌本線に乗りに来たとき昼食を食べた、「五十番」という中華料理店です。ここで950円のラーメンセットAを食べ、少し周辺を散策してから駅へ戻ります。相変わらず安上がりな旅です。

 留萌本線ホームでカメラを構えていると、やがてキハ54の単行がやって来ました。キハ54-527です。
 乗客は50名くらいでしょうか。以前来たときより混んでいます。まあ、その半分は同業者間の方々とお見受けしましたが。

 車内は座り心地の良いクロスシートです。リクライニングはしませんが、普通列車の座席としては立派です。飲み物を置けるテーブルも引き出すことができます。

 列車は当初、平野部を走りますが、やがて山の中へ入っていきます。人里離れた峠下で、上りのキハ54と交換しました。
 晴れていた空は曇り、やがて雪が降り出しました。視界はよくありません。
 やがて再び平地を走るようになり、沿線最大の町、留萌に着きます。ここで地元の乗客の大半は下車しました。
 ここからは海岸部を走ります。人家はかなりあり、駅間距離も短く、廃止が予定されている路線とは思えません。

 14:51定刻に増毛に着きました。
 列車はこのまま折り返しますが、乗客はいったん降りなくてはなりません。ホームは寒いけど仕方ないですね。
 駅は棒線化された無人駅ですが、大きな駅本屋があり、かつての賑わいが偲ばれます。
 駅本屋の中には、売店があります。
 

 駅の深川方向と、終点部。
 昔は機回し線をはじめ、多くの側線があったことでしょう。

 約1時間後に折り返すので、駅を出てしばし散策します。
 雪が深く、あまり遠くへは行けませんでしたが。

 駅へ戻ります。
 以前来たときは閑散とした終着駅でしたが、今日は多くの乗客でにぎわっています。
 やがてドアが開き、再び乗車します。14:51に発車し、深川には17:17に着きました。
 
 深川では、当線の運用を担当する2輌のキハ54が休みます。
 18:04の岩見沢行きに乗車。私の好きな721系の3連で、嬉しいです。
 19:17に岩見沢着。19:40発の区間快速「いしかりライナー」に乗り換えます。こちらも721系で6連。札幌には20:17に着きました。
 次はまた急行「はまなす」に乗るのですが、発車まで2時間近くあるので駅ビル内で夕食を食べましょう。
 でも年末とあってどの店も大混雑。結局、またしても中華料理店に入りました。

 ビールを飲んで、ほろ酔い気分で駅へ戻ります。
 売店でハイボールとつまみ、明日の朝食用のパンを買い、ホームへ。
 やはり「はまなす」は大人気。人が多くて、あまりいい写真が撮れません。
 今夜の宿は、5号車のドリームカー。元グリーン車用の深く倒れるリクライニングシートですから、快適な一夜となることでしょう。
 編成は往路と同様、24系寝台車3連と14系座席車9連の12輌編成。堂々たる長編成です。

 通常2輌の寝台車に、増結された1輌はやはり21号車です。
 方向幕はもちろん「急行はまなす・青森」ですが、1カ所だけ右写真の表示が。
 以前、特急「オホーツク」で使っていた車輌だからでしようね。夜行の「オホーツク」は、とうとう乗る機会がなかったので、ちょっと感慨にふけってしまいます。
 今夜の目的は、ここに座ること。ドリームカーの車端部にある、ミニロビーです。
 今まで「はまなす」に乗ったときは、いつも他のお客さんが座っていたので、座ったことがありません。でも幸い、今日は皆さん外の撮影に忙しいようで、空いています。
 いろんな方が「場末のスナックみたい」と書いていらっしゃる席ですが、それを経験してみるのもいい思い出となることでしょう。
 座ってみると確かにそんな感じですが、車窓が素敵なので満足です。
 きれいな夜景を眺めていると、ハイボールが進みます。
 いい加減酔ってきた頃、突然「お隣に座ってもよろしいですか」と天の声が。見ると若い女性、しかも美人です。
 隣に座っていただけると嬉しいのですが、そこは息子が来る予定だったので、向かい側に座っていただきました。
 あれ、この女性、実物誌やブログで写真を見たような…。
 「あのぅ、小倉さんでは」と聞いてみたら、やはりそうでした。鉄道アーティストの小倉沙耶さん。小倉さんの豊富な知識とマニアックな精神にはかねてから敬服しており、一度お会いしたいと思っていたのですが、まさか「はまなす」で出会うとは。一瞬、カメラを向けたくなりましたが、私的なご旅行とお見受けしたので自重しました。
 いろいろお話がしたかったものの、私は既に酔っぱらい。失礼があってはなりません。というわけで、早々に自席へ退散しました。
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