ブロンプトンで小湊鉄道へ その@ 2016.10.23新設 旅行記へ 表紙へ

 私の数多い趣味のひとつが、サイクリングでした。
 「でした」と過去形なのは、都会に引っ越してから自転車に乗る機会がほとんど無かったからです。乗ろうと思っても自転車が無いので借りなければならず、借りても田舎と違って交通量が多くて走りにくいのですね。

 でも、このところ体力が衰えてきたような気がします。なんだか、足腰が弱ってきたようなのです。これはイカン。体を使う趣味を復活させましょう。

 まずは自転車を買わなくてはなりません。

 さて、どれを買おうかな。以前はタイヤの大きな自転車に乗っていたので当初はその方向で考えましたが、その後方針転換して折りたたみ自転車を買うことにしました。
 鉄道旅行をしていると、袋に入れた自転車を運んでいる旅人をしばしば見かけます。いわゆる「輪行」です。

 旅先で自転車に乗れるのはいいですよね。私もやってみたいな。

 タイヤの大きな自転車でも分解すれば「輪行」できますが、手間がかかります。今の私は大して遠くまで乗らず、スピードも出さないでしょうから、折りたたみできる小径車で十分でしょう。 

 そんなわけで2016年1月末、久しぶりに自転車を買いました。

 さんざん悩んで選んだのは、イギリスのブロンプトン社製M3Rです。

 折りたたみ自転車は耐久性が心配ですが、ブロンプトン社製は頑丈なことで定評があります。重量は11.6kgと決して軽くはないけれど、長い距離を持ち運ぶわけではないので問題ありません。

 記号のMはハンドルの形状を表します。独特の形です。

 3は変速ギアが3段ということ。

 Rはリアキャリア、つまり荷台付きということです。

 当初はより軽いS2Mを買う予定でした。ハンドルがシンプルでギアは2段、リアキャリア無しの軽量タイプです。ただ業者に在庫がなく、あきらめました。
 結果的にはM3Rでよかったかなと思います。重量は1kgほど重いのですが、ギアは多い方がいいし、リアキャリアは買い物の際に便利です。
 フレームの色は黒を選びました。ブロンプトンの自転車は派手な色が多いのですが、私は地味な人間なので似合わないでしょう。
 「輪行」のための袋やパンク修理用具、ヘルメットも購入し、旅の支度はととのいました。
 まずは自宅近くで乗り慣れてから、いよいよ「輪行」です。
 目的地は自然が豊富で、坂が少ないところ。となればやはり、房総半島ですね。
 さあ、「ブロンプトン号」を持って、小湊鐵道へ行きましょう。

  2016年4月30日、早起きして駅まで自転車で行き、駅前でたたんで輪行袋に入れます。
 JR内房線の電車を五井駅で降りると、隣のホームに小湊鐵道のキハ200形2連が停車中です。
 私は重い輪行袋をベルトで肩から提げ、慎重に階段を上ります。ここはエレベーターもあるけれど、使わなくても大丈夫。ただ、他の乗客の迷惑にならないよう、そこは気をつけねば。
 小湊鉄道ホームに降りるところにはそもそもエレベータが無く、階段のみです。再び慎重に階段を降ります。
 キハ200は両運転台車なので、2連なら中間運転台は使いません。そこに我が「ブロンプトン号」を置くと邪魔にならず、好都合です。
 
 
 20分ほど乗車し、光風台駅で下車。
 小湊鉄道では最も新しい駅で、五井駅以外では唯一跨線橋があります。でもやはりエレベーターは無いので、輪行袋を提げたまま上下します。
 駅前で自転車に復元。
 こうして見るとこの自転車、かっこいいですね。
 現在時刻は7:29。
 走り出すと朝の風が爽快です。
 五井方向へ少し戻り、踏切を渡ってさらに北上します。
 すると養老川にぶつかるので、堤防上の道を線路方向へ向かいます。
 
 鉄橋の近くまで来たところで自転車を降り、ナップザックから三脚を出します。

 ここは養老川第一橋梁。

 左写真のとおり、長い鉄橋です。全長は94mとのこと。
 ガーダーは開業以来のものですが、橋脚の一部は河川改修に伴い、建て直されています。

 五井行きの上り列車で撮影の練習をします。

 キハ200の単行でした。
 

 少し間を置いて、上総牛久へ回送する里山トロッコ列車が来ました。
 ちょっと背後の高圧線が邪魔ですが、まあ仕方ないですね。
 撮影します。パチリ。


 撮影終了。

 三脚をたたんで、カメラと一緒にナップザックへしまいます。

 再び自転車に乗り、川沿いに少し走って国道297号線に出ました。

 ここから上総牛久方面に南下し、里山トロッコ列車を追いかけるのです。

 ところがこの国道、狭い上に凹凸がたくさんあり、自転車で走るのは危険です。しかも交通量が多い上に大型ダンプが続々と追い抜いていくのです。
 ひぇー、轢き殺されそうだよー。
 たまらず歩道へ逃げましたが、ここも狭い上に段差や亀裂、傾斜のオンパレード。自動車で走る分には問題ないのでしょうが、自転車には厳しい道です。

 馬立駅を過ぎると線路沿いを走りますが、少し走ると旧道が左に分かれ、曲線部をショートカットする新道区間に入ります。ここは歩道が整備されていて、ようやく走りやすくなりました。

 途中で細い道が右に分かれ、線路の下をくぐります。ここは短いガーダー橋になっていますが、右写真の通り高さ制限の構造物があってよく見えません。

 再び自転車を走らせると、ほどなく養老川第二橋梁が見えてきます。これも開業時以来の鉄橋です。

 左写真のとおり長さは第一橋梁よりは短い58.9mですが、高さはかなりあります。
 

 また少し走って上総牛久駅に着くと、あらら、里山トロッコ1号が発車寸前です。

 しまった、遅かったか。

 本来、ここから1kmくらい先の築堤で撮影予定でしたが、間に合いそうにありません。

 やむを得ず線路沿いの道を走り、追いつかれたところで自転車を止めてパチリ。

 こんな撮り方ができるのは、自転車ならではですね。
 

 市街地を抜け、田園風景の中を走ります。
 風がさわやかで、空気も良く、快適なサイクリングです。

 次の駅、上総川間が見えてきました。

 道はここで右に曲がり、線路から少し離れます。
 上総鶴舞駅を遠くに見ながら走ることしばし、右写真の橋に着きました。
 この橋は養老川の支流、平蔵川に架かっています。
 そして左を平行する小湊鐵道も、この川を鉄橋で渡っているのです。
 左折して、鉄橋を目指しましょう。
 

 ブロンプトン号はここでひと休み。
 私は徒歩で鉄橋に向かいます。

 三脚を立て、カメラをセットして待つことしばし、轟音を立ててキハ200の2連が通っていきました。

 鉄橋の周囲は、典型的な日本の農村です。

 特に何か変わったものはなく、特段美しい情景があるわけでもありません。
 でも、階段状になった不定形の水田や、その背景となっている雑木林、川沿いの竹藪など、興味深いシーナリィが展開しています。

 一応平地とはいえ、意外と起伏に富んでいるのも特徴です。
 平地のレイアウトを作るときも、ペッタンコにならないよう気をつけなければなりませんね。

 
 さて、ブロンプトン号が待っています。戻りましょう。
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