ブロンプトンで小湊鉄道へ そのA 2016.10.23新設 前ページへ 旅行記へ 表紙へ

 再びブロンプトン号に乗り、県道へ戻ります。

 空はよく晴れて、風はさわやか。快適なサイクリングです。

 ブロンプトン号は、止まっている状態から走り出すのが軽い感じで、加速も良好です。
 タイヤの大きな自転車ほど高速は出ませんが、急ぐ旅ではないし、農村をのんびり走るのには好適です。このように周囲が開けていると、眺めも良いのです。

 私の買ったM3Rはハンドルが高いので、乗車姿勢は背筋を伸ばして直立に近い感じとなります。私は前傾姿勢で乗る自転車に慣れていたので当初は違和感があり、買う予定だったS2Lはハンドルが低くて前傾姿勢になることから、「やはりS2Lを買えばよかったかな…」と少し後悔もしました。
 でも、こうして農村を走ると、M3Rでよかったなと思います。
 前傾姿勢では道路とその周囲に目が行きがちですが、背筋を伸ばして乗っていると、視界がとても広いのです。

 左写真の中央には、上総久保駅があります。右隣の銀杏の巨木が色づく頃は、撮影名所となる場所です。

 途中、見たいものがあるので県道から左折し、踏切を渡ります。
 左写真は振り返って県道方向を見たところ。
 いえ、見たいものは踏切でなく、この左側、つまり高滝駅寄りにあります。
 わかりにくいと思いますが、右写真の中央やや左に、旧久保隧道があります。ここは高滝ダム建設に伴い廃線となり、線路が付け替えられました。
 手前側の路盤は区画整理されて水田となり、隧道内部も水没していて入れません。
 右の切り通し部分が新設区間です。上を通っている立派な高架は、圏央道です。
 高滝ダムは、この向こう側にあります。
 

 尾根を回り込み、高滝ダム側に出ました。

 ここには養老川第三橋梁が架かっています。

 ダム建設に伴い、この橋も架け替えていて、コンクリート橋となっています。
 旧橋梁は他の橋と同様のガーダー橋でした。左写真の右側に旧橋台が写っています。

 鉄橋を渡るキハ200の2連を撮ったら、再びブロンプトン号を走らせます。
 ここからはしばし、湖畔の道を行きましょう。

 ダム湖を左手に見ながら、湖畔の道を快走します。

 車はほとんど来ないので、快適なサイクリングです。

 景色が良く、天気も上々。

 いいなぁ。

 湖畔を過ぎると、道は緩い上り坂となります。
 右写真の奥に見えてきたのは、里見駅近くの消防署です。
 この先はいったん県道へ戻りますが、里見駅を過ぎて少し進んだところで右折します。
 線路は右の方にあります。
 細い道は下っていき、養老川の川岸に出ます。
 実は本日の最も重要な目的地は、ここなのです。
 小湊鐵道の下り列車に乗っていると、里見駅の少し先で左側から養老川が迫ってきて、断崖上を走る場所があります。川の向こうには細い道が見えるので、そこからなら迫力のある写真が撮れそうだと考えたわけです。
 ブロンプトン号は、ここでしばし休憩。
 この左側の陸地は、房総半島名物の「川廻し」により誕生した場所です。
 川廻しとは、蛇行する川を短絡することで耕地を生み出す手法で、房総半島で近代以降に多数実施されてきました。
 右写真は現在の養老川ですが゛、本来は左の方へぐるりと大きく迂回して流れていたのです。それを現在のように短絡し、左側の旧河床を耕地としたわけです。
 右側は川の蛇行がまともにぶつかり、断崖となっています。
 ご覧の通りかなりの高さで、全面にコンクリートが吹き付けられています。
 ここから撮った小湊鐵道の写真は、書籍でもサイトでも見たことがありません。
 車輌の一部が隠れてしまうのが難点ですが、面白い写真が撮れました。小湊鐵道らしからぬ情景といえるのではないでしょうか。

 少し飯給駅寄りに移動して、引いた写真を撮るとこうなります。
 
 時刻は13時過ぎ。空腹になってきました。
 そろそろ昼食にしましょう。
 木陰を探し、千葉駅で買っておいた駅弁を広げます。
 周囲は静かで、くつろげます。
 人も車も通らず、秘境感もあります。

 長めの休憩後、ブロンプトン号は出発です。
 目指すは飯給駅。
 ここで次の下り列車に乗車し、上総中野へ向かう予定なのです。
 また県道へ出て、快走します。
 途中で右折する…のですが、あれ、何やら入り組んだ道に入ってしまいました。どうしたんだろう。
 持参した地図を見ると、本来の右折地点を通り過ぎて、別の道へ入ってしまったようです。
 急いで県道へ戻り、引き返します。実ははそろそろ列車の到着時刻なのです。
 時計を見ると、あと5分です。急げや急げ。
 
 本来の交差点を曲がると、あとはほぼ一本道。
 おお、飯給駅が見えてきた…が、キハ200も見えてきました。
 しまった。間に合わんぞ。

 左写真は、飯給駅手前100m地点。
 もうキハ200はいません。行ってしまいました。
 まあ、仕方ない。急ぐ旅ではないのだし。
 
 次の下り列車は1時間以上後です。
 ブロンプトン号を駅前に停めて、周囲を徒歩で散策しましょう。
 

 駅の近くにある、古びた倉庫がいい感じです。
 
 線路の向こう側は水田で、その向こうは神社になっています。神社から撮ったのが、右写真。大木は桜で、1ヵ月前なら実に美しい情景だったはずです。
 今は4月末なので、カメラを構えているのは私だけですが。
 

 散策が終わったら、そろそろ列車の到着時刻です。
 ブロンプトン号を折りたたみ、輪行の準備をしましょう。
 作業は実に簡単です。たたんで輪行袋に入れるだけなら1分くらい。あと1分で、ベルトを付けることができます。

 これで準備万端。

 14:37、下り列車到着です。今度はキハ200の3連でした。

 終点の上総中野で下車。
 ホームは2輌分しかないので、右写真の通り五井寄りの1輌ははみ出しています。昔のローカル線で、よく見られた光景です。

 いすみ鉄道乗り場を見ると、キハ28+キハ52の急行が停車中です。これは撮らなくては。
 ブロンプトン号を復元し、先回りしましょう。

 駅前通りへ出て、線路沿いに走ります。
 途中で右折し、少し走ると踏切があります。この踏切をを越えたところで、カーブの外側から撮れそうです。

 三脚を立て、カメラを構えると、ほどなく列車がやってきました。
 急行「夷隅」のヘッドマークを付けています。
 国鉄の急行型気動車、やはりいいですね。
 
 撮影が終わると、急いで駅に戻ります。次の上り列車で五井に戻るのです。
 この日は25kmくらい走りましたが、坂道が少なかったことと休みながら走ったため、大して疲れませんでした。
 気分のいい一日でした



 折りたたみ自転車「ブロンプトンM3R」による、初めての本格的な輪行の旅は、こんな感じでした。
 ちょっと重いしかさばるから、身一つでの旅より動きにくいけれど、下車した後の機動力と行動範囲の広さは素晴らしいものがあります。
 すっかり輪行がお気に入りとなった私は、1週間後、再び上総中野駅に降り立つのでした。
 その話はまた後日。
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