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(キハ48-505他2連 弘前 2010.3.29)


 かつて平凡なローカル線だった五能線は、今やすっかり観光路線となりました。
 旧国鉄のローカル線のうち、戦後に建設された路線は海沿いでも海があまり見えなかったりします。でも五能線は戦前に全通しているため、海がよく見えます。海のすぐそばを走ることも多く、荒天時は線路が波をかぶって運休するほどです。
 五能線の主役は、キハ40系。寒冷地なので、ドアが片開きのキハ40と48が走っています。
 中には、登場時の首都圏色に戻された車輌もあります。本来は合理化が目的の単色塗りでしたが、キハ40系にはやはり似合っています。

(キハ48形2連 五所川原 2011.12.24)


 こちらは本来の五能線色のキハ48です。
 この日は車内でプロのカメラマンに声をかけられ、駅弁を食べているところの写真を撮っていただきました。その写真はその後、雑誌『男の隠れ家』の五能線特集に掲載されました。自分の撮った写真が雑誌に載ったことはあまたあれど、自分自身の写真が雑誌に載ったのはめったにない経験でした。

(キハ48-701他4連 能代 2011.12.24)


 五能線といえば、まず思い浮かぶのが「リゾートしらかみ」です。
 現行の編成でもっとも古い「橅」は、キハ48の改造車です。でも中間車の運転台付近以外、種車の面影はありません。
 

 車内は窓が大きく、運転台直後に展望席があり、中間車には4人用の個室もあります。車内販売も充実していて、まさに観光列車です。
 窓の外は、風雪が荒れ狂う冬の日本海。この日は結局、途中の深浦で運転が打ち切りとなり、代行バスに乗車しました。

(HB-E300形4連 青森 2012.3.25)


 4連が3編成ある「リゾートしらかみ」のうち、最も新しいのが「青池」編成。ステンレス車体のハイブリッド車です。

 「リゾートしらかみ」は多くの観光客を呼び込み、五能線を活性化させています。ただ、五能線沿線出身の元同僚によれば、「『リゾートしらかみ』が走るようになって、普通の列車が減ってしまった。不便になった」とのことです。確かに、全席指定ですから、地元の方が気軽に乗れる列車ではありません。
 交換駅を増やし、定期列車を増やせば良いのですが、利益重視のJR東日本はやりたがらないでしょうね。

 同じ五能線から眺める日本海も、春を迎えるとこんな感じです。
 季節によって、まるで車窓が異なるのも五能線の魅力の一つでしょう。

(キハ48形 深浦 2011.12.24)


 子どもの頃、河田耕一氏の名著『シーナリィ・ガイド』(機芸出版社刊・現在絶版)に出ていた深浦駐泊所が、とても印象に残りました。河田氏は「粗末な庫であるが、写真にも見るように荒涼とした西北海岸の風景にはむしろふさわしい」と書いていらっしゃいます。
 この駐泊所が、付属の詰所とともに何と今でも健在なのです。同書をお持ちの方は、127ページをご覧ください。左写真とほぼ同じ光景が載っています。
 鉄道のストラクチャーは長持ちする物が多いのですが、これも好例でしょう。
 現代をテーマにしたレイアウトでも、新建材やコンクリートのストラクチャーばかりではなく、こんな古い庫があっても良いわけですね。
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