私のように高度経済成長期の設定でレイアウトを作る場合、最適の参考書が河田耕一著『シーナリィガイド』(機芸出版社刊・絶版)です。
これは月刊『鉄道模型趣味』誌に掲載された、河田氏のシーナリィ紹介記事をまとめた本ですが、内容が多岐にわたり、的確な分類と詳細な解説、何よりも鋭い着眼点は、当時の鉄道を再現するために実に有用です。例えば、駅と線路だけでは実感的でなく、付属建築物やアクセサリィの配置によって生き生きとした情景が生み出されることが実証的に説明されていて、誰もがなるほどと納得させられるのです。
また、多くの示唆に富んだ写真から学ぶことも多く、暖かみのあるイラストは眺めているだけで心が和みます。
そして、単に走らせるだけではない、幅広いレイアウトの楽しみ方を紹介した本でもあります。特に国鉄川俣線の紹介と、それを基にした架空の「川正線」の記事は、ダイヤ運転や入替、車輌の運用など、重層的な楽しみが提案され、実に魅力的です。
私のレイアウト「上総鉄道」も、この「川正線」が原型となっています。国鉄と私鉄の違いこそあれ、他の設定は相当真似ています。駅の数は同じですし、運用や線路配置も似ています。この点は、いずれレイアウトのページでご紹介したいと思います。
本書を入手できない方は、最近出版された河田耕一著『鉄道風景30題』(機芸出版社)が、『シーナリィガイド』とテーマや写真がかなり重複しているので、参考になると思います。
|
|