B建物の製作(その1)

 

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 本作品には3棟の建物がありますが、まず、中心となっている商店の製作法を詳しく説明します。

 構造的には、古い商店の標準と言える「出桁造(だしげたづくり)」と称するものに属します。レイアウト「上総鉄道」では、出桁造の2階建て商店を既に2棟製作しているので、もう慣れたものです。

 製作法の基本は、TMS誌352〜355号に掲載された、平田克良氏考案の「骨組み工法」です。

 これは、実物の日本建築の技法である「軸組工法」に準じた製作法なのです。屋根の小屋組や壁の間柱などは簡略化しているものの、目に見える部分は実物と変わりません。手間はかかりますが、細密にして重厚な、迫力ある模型になります。

 なお、一切簡略化せず、「軸組工法」と全く同じ方法で製作することもできます。レイアウト「上総鉄道」ではそうして作った建物がいくつもありますが、今回はとにかく時間がなくて、見送りました。

 初めに、いさみや製車体工作用方眼紙に設計図を書き写します。方眼紙は、平田氏は0.5mm厚を使用されていますが、私は手持ちの0.4mm厚を使いました。

 切断線を全て書いたら、下から1.5mmの所に横へ線を引き、以後上へ4.0mm間隔で同様に線を引きます。これが後に、下見板を貼る時の目印になります。

 そしてカッターナイフで、窓を抜きます。なお、いずれも窓の寸法より1.0mm大きく開口部を設計してあり、抜くときに更に0.1mm大きくなるようにします。つまり、本来の窓や戸より1.1mm大きな開口部ができるわけです。この0.1mmは、接着剤の分です。

 次に、上下左右を切り離すのですが、下部には土台、上部には梁が付き、左右には柱が立ちますので、いずれも1.6mm短く切ります。戸の周囲も同様です。

 そして、窓の開口部の四方へ1.0mm木製角棒をはめ込みます。これが窓枠になるわけです。
 土台と梁、柱も付けます。こちらは1.5mm角棒です。土台は、長手方向には壁よりやや長く、先がはみ出す形になります。ちなみに土台とは、建物の下部に横置きした木柱です。その下にある大きな石やコンクリートの部分は、「基礎」と言います。

 いずれの角棒も、壁の表になる側は方眼紙とツライチになるようにします。

 なお、木製角棒は昔は国産の物もあったのですが、現在は生産中止とのことで、アメリカ製を使用しています。一口に1.0mm角とか1.5mm角と言っても、微妙に寸法の違う物もあるのですが、まとめ買いをした中からなるべく所定の寸法通りの物を選んで使用しています。それ以外の物は、後述する資材置き場のように若干歪んでも良い建物用に回したり、アクセサリィとしての材木用にすれば、無駄になりません。

 方眼紙の裏にも、補強のための角棒を貼ります。実物の柱に準じて入れますが、窓や扉からのぞき込んでも見えない部分は、スケールより太い2.0mm角や3.0mm角を使いました。部分的に、5.0mm角を使ったこともあります。

 これはかつて製作した2代目レイアウトで、ストラクチャーの経年変化による歪みの発生に悩まされた経験があるからです。今回の作品も保管のスペースがなく、通常は屋根裏に置いてあるため、寒暖の差が著しく、この点への配慮が重要でした。
 この時もこれ以後も、同じ長さの角棒が複数必要になりますが、右写真の「角材チョッパーU」を使うと一度に切断でき、能率的です。

 私は設計の段階で、角棒の太さごとにどの長さが何本必要かを数えておき、最初にまとめてバッサバッサと切ってしまいます。

 後述する下見板も、同様に切断しておきます。そうすると、以後の作業は所定の場所において接着するだけですので、プラモデル感覚で気楽に作れます。
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